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ともたち
¥2,200
書籍紹介『ともたち』 KAZENONE BOOK店主の櫻井家では、旅先を選ぶ基準は、主に4つあります。 1つ目は、面白そうな本屋があること。 2つ目は、面白そうな酒場や酒蔵(ブリュワリー)があること。 3つ目は、3歳になる子どもが楽しめそうな場所があること。 そして、もうひとつ大切にしているのが 「面白そうな人たちがいること」。 幼い子どもがいると、思い通りにいかないことも多いけれど、この4つの円が重なる場所を、できるだけ選ぶようにしています。 ちょっと背伸びしてラグジュアリーな宿に泊まるのも好きだし、ただ温泉に浸かるだけの旅も、もちろん良い時間。 でも、不思議と何年経っても話題にのぼる旅というのは、その土地で出会った“人”との関わりがあるかないか……。 そこが、大きく左右している気がします。 そんな我が家が、今、訪ねてみたいと思っている場所が、広島・鞆の浦(とも の うら)です。 今回ご紹介するマガジン『ともたち』は、鞆の浦で「暮らし観光」を提唱し、街に根ざしてその魅力を発信している長田涼さん・果穂さん夫妻が発行人。 クラウドファンディングで358名・300万円を超えるご支援をいただき、制作に至った自費出版本です。 著者のひとりである涼さんとは、実はご近所づきあいからのご縁。 独身時代、夫が運営していたタバタバーの近くに住んでいたことがきっかけで、立ち上げ当初のお客さんも少ない時期に、「コミュニティ酒場」というスタイルを面白がって、何人ものご友人を連れてきてくれたのがとても心強かったのを覚えています。 その後、強力なパートナーである果穂さんと出会い、東京を離れて移住を考えていたときに見つけたのが、鞆の浦だったそう。 移住から3年。 知り合いも親戚もいない「よそもの」として根を下ろしながら、街の人をしなやかに巻き込み、鞆の浦と外をつなぐ活動に尽力しているお二人。 鞆の浦の美しい港やノスタルジックな街並みにも惹かれているけれど、それ以上に『ともたち』を通して出会える、街の人との対談がとても魅力的な一冊です。 読んでいると、「あ、この人の話、もっと聞いてみたい!」と、まるで自分にも知り合いができたような気持ちになります。 鞆の浦に興味を持ってほしい、というよりも……。 自分たちの街を心から愛し、その魅力を伝えようとするお二人の姿勢に、何か感じてもらえたら嬉しいです。 きっと、街づくりや地域との関わりに興味がある方には、たくさんのヒントが詰まっているはず。 読み終えたあと、きっと思うはずです。 「次の旅先、決まったな」と。 価格(税込):2,200円 発行人:長田涼、長田果穂 ページ数:96ページ 発行年月:2025/5/27
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海のまちに暮らす
¥1,980
SOLD OUT
イラスト、デザイン、詩、小説をはじめ、最近では漫画まで。ときには自身で製本し、出版、営業までをも行う弱冠25歳の作家・のもとしゅうへい。 最近では『ユリイカ』による現代詩の新人賞を受賞したことでも話題になりました。 のもとくんは、コロナ禍であった2022年、大学を休学し、東京を離れて真鶴に移り住みました。町の図書館でバイトし、畑を耕しながら制作活動を行っています。都市を離れ、真鶴という港町で、土を触りながら感じたこと。 このエッセイ集には、日々の些細な生活の記録がさまざまな視点から描かれています。それぞれのエッセイには、描き下ろしの4コマ漫画や挿絵付き。装丁も、のもとくん自身によるものです。誰しもの生活を、やさしく肯定してくれるような一冊です。 (出版社HPより) 著者:のもとしゅうへい 一九九九年高知県生まれ。二〇二〇年より企画・執筆・編集・装幀までのすべてを個人で手がけるセルフパブリッシングの活動を続ける。二〇二四年、芸術総合誌『ユリイカ』による現代詩の年間新人賞「ユリイカの新人」に選出される。著書に、小説『いっせいになにかがはじまる予感だけがする』。文筆のほか、イラストレーション、漫画、グラフィックデザインなどの制作を行う。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程在籍。 価格 1,980円(10%税込) サイズ B6 ページ数 120ページ 著者 のもとしゅうへい 装幀 のもとしゅうへい 発行人 川口瞬 発行元 真鶴出版 +++ 店主も5年ほど前に、真鶴出版さんに宿泊させていただいたことがあります。「海のある町」といってもさまざまですが、真鶴は中でも私が好みの、いわゆる漁師町。 きらびやかさ、華やかさ、目だった観光スポットがあるわけではないけれど、住んでいる人々の日々の営みを感じられる、穏やかでのどかな町の雰囲気が大好きです。 そんな真鶴に住まいを移し、生活のなかで感じたことを収めたのもとさんのエッセイ。真鶴での様子がありありと浮かんでくる文章力も必見です。 「たとえば、海の町で暮らすこと。見知らぬ場所に新たな自分を見出すこと。発見と記録を移動のなかで繰り返すこと。 そのような連続性に身を置きながら生き続けることが、自分にとっての生活だった。そして生活をするそばから、自分はみたものや聞いたものをゆっくりと忘れていく。忘れてしまうものごとを拾い集めて書きとめながら、意識はもう次の移動の先端で風を受けている。」(あとがきより) 《こんな人におすすめ》 ・真鶴がどんな町か知りたい人 ・海のある町への移住を検討している人 ・瑞々しい文章に触れたい人